伴走支援は、富の一部を社会的資産へ転換しようとする人々のためにある。立場はさまざまだが、共通しているのは、「節税」より先の問い——なぜ与えるのか、どう設計するのか、何を残すのか——を持っていることである。以下は、これまで想定してきた主な相手と、その方々が抱えがちな問いである。自分に近いものがあれば、出発点にしてほしい。
イグジットを経験した起業家
会社を売却し、あるいは上場し、これまで見たことのない流動性を手にした方。事業の成功の先にある目的を、もう一度自分の手で定義し直したいと感じている。培った起業の能力を、社会課題にも向けたい。「いくら出すか」より「なぜ、どう与えるか」を一緒に設計する相手として、当方は役に立てる。詳しくは記事「イグジット後の起業家はなぜ財団を作るのか」も参照してほしい。
オーナー経営者
事業を続けながら、本業とは別に、社会へ還元する仕組みを持ちたいと考えている方。会社のCSRとは切り分けた、個人またはファミリーとしてのフィランソロピーをどう設計するか。本業の哲学と矛盾しない形で、無理なく続く器をどう選ぶか。継続性とガバナンスの設計に、特に力になれる。
創業家・ファミリー
複数世代にわたって資産と理念を受け継いできた、あるいはこれから受け継ぐファミリー。家族のあいだで「何のために与えるのか」の合意をどう作るか。次の世代へ、お金だけでなく想いをどう手渡すか。家族の対話の設計そのものが支援の対象になる。
事業承継・相続を控えた世代
事業や資産の承継を見据え、その一部を社会へ向ける選択肢を検討している方。承継の設計とフィランソロピーの設計は、しばしば同じ時期に重なる。ただし、相続税や事業承継の税務・法務は税理士・弁護士の領域であり、当方はその手前の「意志の設計」を担い、専門家と協働する。
すでに財団・基金を持つ方
財団や基金をすでに運営しているが、目的が形骸化していないか、配分のバランスは適切か、理念をどう言葉にし直すかを見直したい方。新しく器を作るのではなく、既存の器の中身を磨き直す相談にも応じる。
逆に、お役に立てないかもしれない場合
正直に書いておきたい。目的が節税のみにある場合、当方は適任ではない。税の最適化は税理士の領域であり、そこに価値の設計の余地は乏しい。また、すぐに目に見える成果や見返りを最優先する場合も、長い射程で意味を設計するこの仕事とは、相性がよくないかもしれない。当てはまる場合は、率直にそうお伝えし、より適した相手を案内する。
共通して大切にしていること
立場が違っても、出発点は同じである。富を社会の循環に戻すという行為を、勢いや体裁ではなく、事業を起こすときと同じだけの知性をもって設計すること。その設計に、最初の問いから長い伴走まで、並走する。
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