財団には定款があり、基金には規程がある。だが、定款は「何をするか」を定めても、「なぜするのか」までは語らない。理念が言葉になっていない組織では、創設者がいなくなった瞬間から、解釈が割れ始める。ナラティブ構築とは、その「なぜ」を、関わるすべての人——家族、後継者、財団のスタッフ、寄付先——が参照できる言葉に編むことである。
つくるもの
理念文書。創設者の半生と事業哲学を2〜3回の取材で深掘りし、フィランソロピーの理念体系として構造化する。どの原体験が、どの価値観を生み、それがなぜこのテーマへの寄付につながるのか——因果の通った一篇の文書に仕上げる。
設立趣意書・財団の基幹文書。財団・基金の設立に際して、趣意書、ウェブサイトの原稿、対外説明資料を執筆する。法的文書(定款)と物語的文書(趣意書)が互いに矛盾しないよう、設計段階から両者を往復して編集する。
アニュアルレポート。年次の活動を、数字の報告に終わらせず、理念の実践の記録として編集する。寄付先の現場の声を取材し、創設の物語と接続する。財団の信頼は、この積み重ねでできていく。
内部ナラティブ——「語らないことの設計」。匿名での寄付を選ぶ人にこそ、設計すべき物語がある。社会には語らない代わりに、家族と次世代には何をどう伝えるか。なぜこの活動をするのか、自分の没後に基金の精神を誰がどう引き継ぐのか。外に向けた発信を一切しない場合でも、内側の物語の精度がフィランソロピーの寿命を決める。
進め方
(1)取材——2〜3回、各2時間程度の深掘りインタビュー。半生、事業、家族、原体験。録音と逐語をもとに素材を構造化する(守秘契約のもとで行い、素材は納品後に取り扱いを協議のうえ処分または引き渡す)。(2)構造化——価値観と寄付テーマの因果を図解し、本人と検証する。ここで「語ること」と「語らないこと」の線引きも決める。(3)執筆と推敲——文書として執筆し、本人・家族との往復で仕上げる。標準で2〜3ヶ月。
大切にしていること
美化しない。事業の歴史には影もある。影を消した物語は、関係者が読めばすぐに分かり、かえって信頼を損なう。語るべき影と伏せるべき影の判断を、本人とともに行う。
本人の言葉を残す。編集者の美文ではなく、本人の語彙と呼吸で書く。読み上げたときに本人の声で聞こえる文章であること。
広報と混同しない。ナラティブ構築はPRや宣伝の代替ではない。メディア対応や広報戦略が必要な場合は、その専門の会社と協働する。当方が担うのは、発信の土台となる理念の言語化である。
守秘について
- すべての取材・制作は秘密保持契約のもとで行う
- 事例として公開することは一切ない(書面による同意がある場合を除く)
- 匿名希望の場合、成果物に個人を特定しうる情報を含めない設計も可能
本ページは一般的な情報提供を目的とするものである。